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痛み止めで本当に注意したいこと 医療社説3

By | 2016年9月28日

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先日、ボクシング・WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチで長谷川穂積が9回TKOで勝利し、世界王者に5年5カ月ぶりに返り咲きました。35歳9カ月での世界タイトル奪取は、国内男子では最年長の記録となるようです。

 

驚くべきは、タイトルマッチの一か月前の練習中に左親指を脱臼骨折していたといいますから、メンタル部分でもかなり強靭な精神力を持っている選手なのではないでしょうか。
勿論、医師からは試合中止も言われていたようですが、その後も痛み止めの座薬を使用しながらスパーリング続けて今回の世界タイトルの奪取となったようです。

 

プロのスポーツ選手などは、ケガや故障でそのまま休むことができない状況も多いので痛み止めなどを投与しながら練習や試合などに挑む選手も多いようです。ただ、長谷川選手のように快挙を達成することができる人がいる反面、無茶をして選手生命をも失ってしまう人も多いとのことです。
ここでちょっと気になることがあります。そもそも人間が脳で感じ取る『痛み』を考えると、痛み止めという発想は本来は好ましくない位置づけをされるべきではないかということです。

 

身体の不調を訴えるために、身体の各所からはいろいろな化合物を量産して脳にその異変を届けます。脳は、生命の維持に危険が及ぶような身体の不具合の信号を受け取って、身体を休ませようとしたり異変を改善させるように判断します。
痛みが続く限り、『いまあなたの身体は正常ではない』ということになるわけです。

 

ところが痛み止めというのは、これらの重要な信号を緩和、もしくは感じないようにするための処置になるので、本来休養や治療が必要な不具合を悪化させたり、病状の進行を促してしまう恐れがあることです。

 

身近な痛み止めでは、様々な症状を緩和させている間に人間本来の免疫力でウィルス排除することを前提とした風邪薬、胃痛や頭痛、腰痛や神経痛などの痛みを和らげる内服薬やパップ剤などの外用薬、局所のみの痛みを和らげる点滴などがあります。
ただ、このような人間の自然治癒を前提に利用される痛み止めは、本来、休息や治癒が必要なのに痛みをマヒさせ、心身に無茶をさせてしまうことがあるわけですから、依存しすぎや常用多用することは非常に危険ではないかと思います。

 

とはいえ、ひどい咳や頭痛などは、痛み止めを(緩和剤)使うことでかなり症状を和らげることができるのでの、極端に使用すべきではないと言っているわけではありません。
また、進行型の重度の病気などでは免疫力では治癒されない病気やケガの激痛を和らげるためだけに利用される痛み止めがありますが、このような場合はむしろ痛み止めが必要であることが多いようです。

 

本来、身体を守るためのシグナルである『痛み』をマヒさせたり感じなくしないようにした状態で、さらに無茶な負担を心身に与えるような目的での痛み止めの使い方は控えるべきことだと考えています。

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